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あまりに前の話が重すぎたので反省し、
ちょと可愛いあまあまな話を書こうと試みました。とてもデレてます。
ただし書きなれていないのがバレバレですな・・・

もはやパラレル。
しかしどれだけティエリアを子ども扱い。。。

時期的に一期ですがくっついている設定です。

+ + + + + + + + + +
 ティエリア・アーデが探していた人物は、食堂でうたた寝していた。
今日は泊まりにくるからと囁いたくせに、待てど暮らせどやってこないから、しびれを切らして探しにきたのだ。
 心地良さそうな顔で机に伏せているのも珍しいからよほど疲れていたのだろう。
 数時間前に地上から帰還して、戦術予報士やヴェーダに報告をすませてから軽く食事をとこの場所に来て、そのまま轟沈だ。目に浮かぶようだ。
 但しティエリアは約束を反故にされるいわれもつもりも無かったから、容赦なく…彼に取ってはやや控えめに、ロックオン・ストラトスを揺り起こした。

 心地よい眠りから呻き声とともに目を覚ましたロックオンは、目の前にむくれた可愛らしい顔を発見して破顔し(むくれた顔でも可愛いとは!)、そのまま腕を伸ばして挨拶を試みたのだが呆気なく躱される。
 おいおいそりゃ無いぜダーリン、と呟いた彼は、寝起きとは思えない素早い動きで獲物を取っ捕まえた。
 もがく獲物を膝の上にのせて、思い切り抱きしめ鼻孔をくすぐる薫りを楽しんだ。
 ティエリアから甘い香りを感じる自分はどうかしているなと自己分析を行うが、二週間ぶりなのだからと諦めた。
「迎えに来てくれたのか?」
「…喉が乾いたからここに来たんです」
 素直に探しに来ました等と言えないティエリアを眺めつつ、ロックオンは全て承知なのだから言い訳したって無駄なのにと思う。
 あああ可愛いよなぁまったく可愛い。


 ティエリアの部屋に向かう前に一度自室に戻り、ベッドに放りっぱなしだった荷物からいくつか品物を取り出す。ティエリアを待たせるわけには行かないから、適当な袋に突っ込んで部屋を飛び出した。
 手にした荷物に興味をそそられた様子で己を伺ってくるティエリアに片目で挨拶、とりあえずは部屋に戻ってから。
 移動する間にこの二週間でお互いに起こったことについて情報を交わす。ミッションに関する報告はとっくにヴェーダに上げてあるから、話す内容は限られてくる。
 例えば、食事はどうしただとか、休憩のときは何をしていたかとか、取り留めのない、でもお互いのことを知るには一番分かりやすくて、早いこと。
 初めはそういった会話に慣れていないティエリアが癇癪を起こすのを宥めたりと散々だったが、随分と落ち着いてきたもので、こちらが尋ねればたどたどしくも話してくれるようになった。
 今日は、ヴァーチェの機動制御プログラムを更新してみました、あなたが貸してくれた本は半分くらいまで読みました。でもやっぱりわからない。何故ホウロウが良くてアルミはダメなんです?(ジャム作りの話だ)・・・・・・などなど。
 中々終わらなくて、部屋についてもしばらくはお互い向かい合わせてベッドに腰掛け、話を続けた。無駄な時間だと切り捨てがちなティエリアの変化はロックオンに感銘を与え、そして少しの独占欲を満たした。
 一区切りついた所で、ロックオンは袋から「お土産」を取り出す。彼が地上に降りた際、街に立ち寄る機会があれば、そして余裕があれば、必ず何かを持って帰ってくる。もちろん検査・滅菌済みだ。手のひらに乗るくらいの小さな冊子が何冊か、袋に入ったアメ、きらきらと光るガラスの小瓶。
 ベッドの上に転がるそれらをティエリアは不思議そうに見やってから、伺うようにロックオンを見上げた。いいよ、と言うとおもむろに手に取って確認する。
「これはなんですか」
 ティエリアが手に取ったのは小さな冊子で、文庫本にしても小さすぎると言った。開いてみろよ、と促されてめくってみると、書かれていたのは文字ではなく絵。同じような絵が延々と描かれている。ますますわからない。
 不思議、という顔を隠さず小さなページをめくり続けるティエリアを見かねて、ロックオンが小さな本を取り上げる。
 こう使うんだよと親指を表紙にあて、反対の手で支えてぐいと引き起こす。ぱらぱらと勢い良くページが捲れてゆき、先程は意味が分からなかった絵が一気に動き出した。
 あ、と声を出したティエリアが別の冊子を取り上げて同じようにめくる。冊子の数だけ描かれている絵も動きも違う。絵だけではなくて、写真のものもあった。
 乱読の傾向がある上に紙媒体のファンでもあるロックオンは、本というものを発見次第購入してしまうのだが、読むことはできずとも変わったこのおもちゃ(?)に惹かれてつい手を出してしまった。遊ばなくても部屋に置いておくだけで面白いだろと笑う。
 ティエリアも気に入った様子で、何度も手にとってはぱらぱらと捲っている。どうやら本は読むだけではないのだな、と新たに知識を確保したらしく、なかなかおもちゃ(?)を手放さない。
 可愛らしい顔で可愛らしく遊ぶ(注:ロックオン視点)ティエリアは眼福なのだが、何せ二週間振りである。同じ部屋の同じベッドで向かい合わせで座る。
 この状況に大人の忍耐とやらもそろそろ限界だった。

「さてティエリア?」
 手の中の冊子を取り上げ腕を伸ばしてデスクに載せる。やや不満げな顔に向かい少しだけ声を落として囁いた。
 俺にご褒美をくれないか?
 とっさに返事ができないティエリアを引き寄せる。怖がらないように全身をゆっくりと撫でていきながら、こめかみ、耳朶、頬に触れていく。触れるたびに体が震えているものだから、つい可笑しくなって喉を鳴らした。
 震えがやや大きくなる。どうやら怯えているようだが恐怖からではなく、既知の感覚を思い出したのだろう。
 髪を撫で、先ほどより力を込めて抱きしめる。
 大丈夫、痛いことはしないだろう?
 頷いたティエリアは観念した様子で全身の力を抜いた。


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