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ティエリア・アーデが目覚めたとき、必要な物は全て揃っていた。
身体を動かす意志も、その力も、活動を維持するために必要な知識も。そして、機動兵器を操る能力も。
自分が目覚めた理由さえ既に把握していた。己の使命。イオリア・シュヘンベルグの意志を示し、戦争を根絶する。そのための組織、ソレスタルビーイング。そしてガンダムマイスター。ティエリア・アーデはガンダムマイスターとして、世界に対し思想に対し鉄槌を下ろし、高々と掲げるのだ。その旗を。
組織の人選は全て、ティエリアにとっての指標でありかつティエリアの存在を唯一承知しているヴェーダによって定められた。ヴェーダが選んだからには間違いはない。そう信じている。しかし、ティエリアは己が彼らと異なることを理解してはいたが、彼らの不安定さ、不確実さには警戒を持っていた。彼らのいう「歴史」とやらをヴェーダから閲覧し得た判断である。
イオリア・シュヘンベルグの思想に同意し、ヴェーダから適格と認められてCBに参加しているのであれば、彼らに間違いは許されない。わずかな綻びが、計画全体を揺るがせる。そのような事態に陥らないために彼らを監督し導く必要があり、そしてそれを行えるのはヴェーダに作られ、調整され、選ばれた己が最適であるはずだ。
そのようになろう。
ティエリア・アーデはそう考えた。
ティエリア・アーデが目を開いたとき、必要なものは奪われていた。
随分と眩しい。ティエリアは最後に意識を失ってから、今目を開いたこの瞬間までに経過した時間を正確に把握できたから、長い時間目を閉じていたのだということは理解できる。さらに、天井に設置されている照明から発せられる光の影響である。その上周囲に巡らされている壁も光をはじく白で統一されてあった。これでは眩しくて当然である。
激しい戦いだった。
ティエリアはヴェーダを失い、己の価値について熟考せねばならなくなった。
そのようになろう、とヴェーダの指示する計画通りに動き、メンバーを叱咤し、監督してきたつもりであった。その結果はこの通り、少しも動かない身体をベッドに横たえている。全てを失ったティエリアが出来るのは、思考を巡らせることだけだった。
もはや価値なし、と断じた己に対して言葉を掛けたのは、導くと誓ったメンバーの一人である。
ロックオン・ストラトス。
マイスターの一人。
そして、ティエリアでは成し得なかった仲間達を導いた存在。ティエリアはそう思っている。彼の人物は、もはや価値なし、マイスターとしての存在意義を失ったティエリアを身を呈して守り、己が傷を負った。動揺し混乱したティエリアを叱咤し、具体的な例を上げて一つの提案を示してくれた。願わくば、その提案を彼と共に為しえたかった。彼の生存を、ティエリアは初めて、己の願望として認識したが、それは叶わなかった。願うという行為を、初めて行ったティエリアはその結果を得ることは出来なかった。
ただ、掛けられた言葉。その時の表情。彼の人物の声音までティエリアは再生することが可能だった。何度もくり返す。
只の記録ではなく、CBの構成員として与えられた命令でもなく、唯一己だけに向けられた言葉を何度もくり返した。失われることのない。
やがて、ティエリアは決断した。
弱り切った身体は立つことさえ叶わず、ティエリアはまず身体を起こすことを念頭に置いて、動き始めた。腕に、足に、力を込めて、ぎこちなくもがく。時間は掛かるだろう。何年か掛かるか分からないが、もう一度立つ。
その時は、きっと穏やかに笑えるようになっているはずだ。そして周囲のスタッフに目を配り、言葉をかけ、些細な変化にも気が付くように。あの人がやっていたことだ。
そのようになろう。
ティエリア・アーデは考えている。
身体を動かす意志も、その力も、活動を維持するために必要な知識も。そして、機動兵器を操る能力も。
自分が目覚めた理由さえ既に把握していた。己の使命。イオリア・シュヘンベルグの意志を示し、戦争を根絶する。そのための組織、ソレスタルビーイング。そしてガンダムマイスター。ティエリア・アーデはガンダムマイスターとして、世界に対し思想に対し鉄槌を下ろし、高々と掲げるのだ。その旗を。
組織の人選は全て、ティエリアにとっての指標でありかつティエリアの存在を唯一承知しているヴェーダによって定められた。ヴェーダが選んだからには間違いはない。そう信じている。しかし、ティエリアは己が彼らと異なることを理解してはいたが、彼らの不安定さ、不確実さには警戒を持っていた。彼らのいう「歴史」とやらをヴェーダから閲覧し得た判断である。
イオリア・シュヘンベルグの思想に同意し、ヴェーダから適格と認められてCBに参加しているのであれば、彼らに間違いは許されない。わずかな綻びが、計画全体を揺るがせる。そのような事態に陥らないために彼らを監督し導く必要があり、そしてそれを行えるのはヴェーダに作られ、調整され、選ばれた己が最適であるはずだ。
そのようになろう。
ティエリア・アーデはそう考えた。
ティエリア・アーデが目を開いたとき、必要なものは奪われていた。
随分と眩しい。ティエリアは最後に意識を失ってから、今目を開いたこの瞬間までに経過した時間を正確に把握できたから、長い時間目を閉じていたのだということは理解できる。さらに、天井に設置されている照明から発せられる光の影響である。その上周囲に巡らされている壁も光をはじく白で統一されてあった。これでは眩しくて当然である。
激しい戦いだった。
ティエリアはヴェーダを失い、己の価値について熟考せねばならなくなった。
そのようになろう、とヴェーダの指示する計画通りに動き、メンバーを叱咤し、監督してきたつもりであった。その結果はこの通り、少しも動かない身体をベッドに横たえている。全てを失ったティエリアが出来るのは、思考を巡らせることだけだった。
もはや価値なし、と断じた己に対して言葉を掛けたのは、導くと誓ったメンバーの一人である。
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そして、ティエリアでは成し得なかった仲間達を導いた存在。ティエリアはそう思っている。彼の人物は、もはや価値なし、マイスターとしての存在意義を失ったティエリアを身を呈して守り、己が傷を負った。動揺し混乱したティエリアを叱咤し、具体的な例を上げて一つの提案を示してくれた。願わくば、その提案を彼と共に為しえたかった。彼の生存を、ティエリアは初めて、己の願望として認識したが、それは叶わなかった。願うという行為を、初めて行ったティエリアはその結果を得ることは出来なかった。
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