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あまりに前回の(以下略)

というわけで仲良しマイスターな話を書きたくて書いてみた。
パラレルだと思います。

ロックオンとアレルヤは、年下マイスター2人に振り回されるといい!とか
刹那とティエリアがコンビなのが可愛い
とかもう……

+ + + + + + + + + +
 休暇をもらったマイスターたちが4人揃って地上に降下することは珍しい。
 まず生粋の宇宙生まれで宇宙育ちのティエリアが地上降下を拒否するためだ。地上へ行くくらいならとターミナルユニット(通称ヴェーダルーム)に籠もってしまう。あの場所に逃げ込まれるとクルーは手を出せないから、いつもはティエリアの一人勝ちだった。しかしながら今回はトレミーに残られては困ると戦術予報士は策を巡らせ、意外と抜けている(ロックオン談)ティエリアはまんまとその策にはまり、こうして王留美の別荘に滞在する羽目になっている。
 騙された! 嵌められた! と辺り構わず喚くものだから、軌道エレベーターの待合室では善意による通報で簡単に職務質問されるという騒動で始まった休暇も3日目、始めは物珍しさから外出する事が多かった3人は(ティエリアはもちろん引きこもった)4日目ともなると予定を殆どやりつくしてしまい、のんびりと過ごすようになってきた。
 昨晩夜更かしをしたロックオンが朝というよりは昼に近い時間に目を覚まし、リビングルームに顔を出すとオレンジの相棒がソファの上で転がっていた。
「ロックオン・オハヨウ・オハヨウ」
「おお。一人か? フェルトは」
 任務以外では出来るだけ彼女にハロの優先権を与えているので、てっきり今日もフェルトの所にいると思っていたのだが。マイスター達と女性達の滞在している別荘は別けられているので、ロックオンがハロを目にしたのは2日ぶりだ。カイモノ! カイモノ! との返事で大体を悟り、置いてけぼりだなと笑った。クリスティナに連れられて行ったのだろう。彼女との買い物となれば荷物も多いから、移動手段が転がるか跳ねるかのハロを構ってやれない。心優しい彼女は、広い別荘にハロをおいていく事ができなかったのだろう。
 そういえば他の3人も見あたらないが。
「アレルヤ。カイモノ」
「……から帰ったところですよ。おはよう、ロックオン。随分と過ごしましたね」
 紙袋を抱えたアレルヤが笑っている。てっきり荷物持ちとして連れ出されたのだろうと予想していたのだが、外れたようだ。寝坊をからかわれて、リビングと繋がっているキッチンカウンターに紙袋を置くアレルヤに首をすくめる。
「休暇の醍醐味だろ? クリスティナ達と一緒じゃなかったのか」
「フェルトがハロを届けに来たので一緒に出ましたけどね。僕は食材を買いに。外食も飽きてきたから、そろそろ作ろうかなって」
「そりゃ良いな。早速昼飯からか」
「えぇ。昼ですから手早くね。もちろん、お手伝い願いますよ!」
「りょーかい。・・・・・・ハロ。ウチのやんちゃ達はどこ行った?」 
「セツナ。ティエリア! ニワ」
「・・・・・・ティエリアもか?」
 何だか嫌な予感がするなと呟くロックオンに、アレルヤも同意した。どうにもあの二人は普段は喧嘩ばかりの癖に、利害が一致するととんでもない事をしでかす。そのたびに呼び出されお叱りを受けるのはロックオンとアレルヤで、年下二人の面倒はお兄ちゃんがきちんと見なさいというのが戦術予報士の言い分だが、悪ガキは常に二人の予想から外れた行動を選択するのだ。手に負えないときだってあると言いたい。
 とにかく、様子を伺おうと別荘の庭園(としか言いようがない。なんでこんなに広いんだ!)を覘く。リビングから庭は高い天井からガラス一面張りで仕切られており、外へは直接出られるように引き戸も作られている。防弾・対衝撃加工が施された強化ガラスだが、こんなに大きいものをどうやって運んだのだとか、下らないことで初日の夜は盛り上がった。
 悪ガキ二人、刹那・F・セイエイとティエリア・アーデは並んで何かしている。正確にいうと何かしているのは刹那だが、ティエリアは指示を出しているようだ。頷きながら手を動かしている様子が伺えた。これは確実に良くない。いたずらというレベルではない。過去の経歴から特殊な環境で育った刹那と、データでしか事柄を知らないティエリアは同世代の子供たちが通過儀礼として通った常識行動が欠けているから、刹那がマイスターとして鍛えられた技術を駆使し、ヴェーダの加護を受けたティエリアの提案で行われる行動は大抵碌なことにならない。 
「・・・・・・ありゃ何をしてるんだ・・・・・・?」
「ええと、石像かな? 王留美がオークションで競り落としたって紅龍が言ってたよね。どうやら投擲の的に・・・・・・えええ!」
「ちょーと待てェ!!! 刹那! ティエリア!」
 明らかに石像を人体模型と見立ててナイフの投擲を行おうとしている刹那と、レーザーガンを取り出して射撃を行おうとしているティエリアを確認した瞬間、二人は飛び出した。過去の経験から、ロックオンとアレルヤがこちらに走ってくる時は良いことがない。と理解している子供たちは、ロックオンの大声が聞こえた時点で計画を変更、獲物をしまって逃走経路を目で探る。
「アレルヤ!」
「了解!」
 逃げ出そうとした刹那を素早い動きで取っ捕まえるのはアレルヤだ。とにかく素早い上にちょこまかと逃げ回るから、超兵の身体能力でしか対応できない。そんなロックオンは同じく逃げ出そうとしたティエリアを捕まえ担ぎ上げた。地に足をつけていると、あの手この手で逃げ出そうとするものだから。離せ降ろせと喚くのはティエリアで、刹那は憮然としている。ただ口を開かないだけで無言で抵抗を続けており、結局アレルヤも担ぎ上げざるを得ない。
「何やってるんだお前ら」
 ふい、と顔をそらせたティエリアにため息をつき、言わなきゃこのままだからなと通告する。獲物を担いだままではなんとも間抜けな光景だが、言う事を聞かせるには一番効果的だ。子供ではあるがそれなりにプライドがあるから、早く降ろしてもらうには言う事を聞くのが一番早い。・・・・・・ということを覚えこませるのに随分と時間が掛かったのだが。一度ラッセとリヒテンダール、クリスティナに見られて大笑いされてから確実になった。
 
「刹那のナイフの投擲速度と命中率が銃に及ぶかどうかの検討だって?」
「そうだ。彼はナイフを使用する戦闘訓練を多く積んできている。比較することで銃を使用する場合に匹敵する結果が得られれば、潜入操作においても多大な効果を得ることができるだろう」
「・・・・・・俺は銃が嫌いだ」
「ちょうど良い人体模型も設置してあった。良い機会だと判断した」
 以上。
 ロックオンとアレルヤに担がれた二人の弁明である。
 庭においてあるアレは人体模型ではなくて、18世紀の著名な彫刻家による作品であるのだとか、いくらエージェントの別荘だからって真昼間に堂々と銃を発射するもんじゃないとか、言いたいことは山ほどあるのだが、とにかく脱力してしまったロックオンは何も言い出せないようだ。二人を叱る戦術予報士もいないし、未遂ですんだこともあってアレルヤは的確に、そしてやや甘めに悪ガキに罰を与えることにした。
「・・・・・・そう。じゃぁ、二人ともお昼の飲み物はグレープフルーツ・ジュースだから」
「!!」
「全部飲むまで許さないからね」
 ステーションで別荘から迎えが来るまで待っていた間、外に出たロックオンがフレッシュのグレープフルーツ・ジュースを見つけて買ってきた。年長者たちには爽やかな酸味として認識された味は、年少にはまだ強烈だったらしい。フェルトと3人で顔を顰めて飲んでいたのを思い出したロックオンは笑う。昼ごはんはバゲットサンドだとアレルヤは言い、準備するから手伝うよう刹那とティエリアに言い渡してキッチンに追い立てていった。
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