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1期23話から改造。兄貴生きてるよバージョン!
2期が始まる前の今しかできない!
ロクティエは幸せになるんだよ!決まってるじゃないか!!(超ポジティブにね!)

という妄想に取り付かれた管理人の可哀想っぷりを見て
笑ってやろうじゃないかという勇気ある方どうぞ!

先日の日記、「宇宙空間(パイスー)で抱き合ってくるくる」ネタです。
1期なので劇場版Zバージョン。2期はF91でいくよ!(予告?)
デレ甘です(お互いに)。短いです。
あ、パロディなうえに無理があるかもなので苦手な方、ご注意下さい。

+ + + + + + + + + +

 泣きたくて叫びたくて、嫌だ返してと言いたくて、でも出来なくて、それでも諦め切れなくて、周囲の制止を振り切って飛び出した。
『ティエリア。無理だ。刹那が確認したんだ。……諦めろ』
 憔悴したイアン・ヴァスティの声が聞こえる。爆発の勢いに押し出されて行く姿を確認したと言う刹那の発言を言っているのだろう。そうかもしれない。でも、分かるものか。飛ばされたのなら、捕まえれば良いだけだ。エネルギーはこちらが上だ、追いつけないはずがない!
 刹那が報告した座標から爆発時のエネルギーと方角を計算する。なんとしてでも捕まえてみせる。自分のやりたいことをやれ、そして生き残れと言ったのは彼だ。彼はやりたいことをやった。ならば生き残るべきだ。
「ぼくに生き残れと言ったんだ。ロックオン!」
 先の戦闘で中破したヴァーチェの中で、ティエリアは叫んだ。



**



 どのくらいの時間が経ったのだろう。
 しばらく意識を無くしていたが、こうしてまた目を覚ますことができた。戦闘終了してから3時間以上経過すればMIA扱いになるはずで、恐らく次に意識をなくせばそのまま目を覚ますことはないだろうと分かった。 

 空虚だった。気が付けば一人だった。
 最後の一撃がどうなったのか、MSを無くした自分には確認できない。微かに見えるものは光だろうか。何億光年も彼方にある星が遠くから己の存在を主張していた。
 一人だった。
 こみ上げる怒りと想いを押さえきれず突き進んだ結果、ただ静寂の中で一人宙を漂っていた。後悔はない。ああしなければ、己はきっと「これから」を見ることができなかっただろうから。刹那が答えを探したように、己も先に進むにはどうしても決別しなければならない想いがあったのだ。
 ただ、今はどうしようもなく、空虚だった。空しさなのだろうか、それとも寂しさなのだろうか、もはや判断できない。想いを昇華してしまえば、己の中には何も残っていないのだろうか。虚ろな中身を抱えて歩いていくのか?ロックオン・ストラトス。……いや、その名は多分捨てた。あのMSを降りたときに、捨てたのだろう。
 ロックオン・ストラトスを名乗るときにニールは捨てた。そのつもりだった。ならばそのロックオン・ストラトスを捨てた今の俺は何だ?自問を繰り返す。まだ、答えは出ない。
 ……確かな物が欲しい。
 この腕の中に、何か。この身体に。しっかりと確認したい。
 腕を伸ばせど掴める物はなく、それでもと伸ばした腕は宙を切った。何も掴めない己を哂い、拳を握って開く。その掌の中、何かが瞬いた。
「何だ? ……光……?」
 光だ。緑に輝く、最後だと思ってみたエクシアの光。……いや違う。白く輝く機体、操縦者の繊細で不器用な心を守る重厚な鎧、
「ヴァーチェ……ティエリア!」
 猛進する機体が近づき、恐る恐るという表現がしっくりくる動きでマニュピレーターが差し伸ばされる。包み込まれて視界が閉ざされたが、不思議と恐怖は感じなかった。ティエリアの機体制御に間違いはないはずだ。制動がかかる。

 
「ロックオン、ロックオン!」
 姿を見ればもう堪えきれず、ティエリアはコクピットハッチを開いた。エアと共にハッチを蹴って飛びだしていく。同時に緑のパイロットスーツを纏った姿が見えた。カメラ越しじゃない、彼はちゃんとそこにいる。ティエリアの視界は歪んではっきりと見えなかったが、あの緑の色は間違えない。今度こそ捕まえようと思い切り腕を伸ばす。彼に届いた。 
「……ティエリア」
「ロックオン、……ロックオン、ロックオン!」
 接触回線で声が繋がる。生きている。掠れた声に堪えきれず涙がこぼれた。 
「手も足もちゃんと、ありますね!?」
「大丈夫だ。見つけてくれたんだな、ティエリア」
「……生き残れと言ったくせに……! あなたが生き残れと言ったくせに!!」
「そうだな」
「嘘、をいったのですか、僕に、あんなこと言って、あなたは、っ」
「……そうだな。ごめんな」
 泣いているのだということを、隠さずロックオンにしがみついた。彼に対して隠すものはもう何もない。そう思えたが、この人はきちんと捕まえておかないとどこかへ行ってしまうかもしれないという不安がティエリアを襲った。己の腕は細く頼りない、腕の力だけでは怖くてたまらない。それこそ全身で捕まえなければと身体を寄せるティエリアの腰に、ロックオンの腕が回った。痛みを感じるほどの力で引き寄せるように、強く。
「ティエリア……ティエリア……お前は、ちゃんとここに……」
 俺の腕の中に。小さな声が、ティエリアの耳に届いた。大きくて己を包んでくれる、身体が震えている。声が震えている。展望デッキで心を守ってくれた彼に、今度は己が力を渡したいと思うが、その言葉を見つけることが出来なかったティエリアはロックオンの頭を抱いた。
「っティエリア、」
「あなたが、助けてくれた。ロックオン」
 絶対零度の宇宙の中で、パイロットスーツ越しではお互いの体温はわからない。だから二人はせめて感触はと抱きしめ合う。持ち上げるように己を抱くロックオンの腰に、ティエリアは足を回し全身でしがみついた。こうすればもっと彼の身体を確認できる。
「……俺は、……守れたのか」
「守ってくれた。二度も」
 今までは口にしたこともなかった感謝の言葉が自然と零れた。思いやり労り合うこと。全部彼が教えてくれたことだ。覚えたばかりで言葉を多くは持たないが、少ない言葉の代わりにこの身体で。この感触で。彼に伝える事が出来ればと少し身体を離してのぞき込んだロックオンに微笑みかける。
「僕はここにいます」
「あぁ……お前は夢でも幻覚でもない。こうして……抱くことができるんだから……!」
 お前を確認させてくれと腕を強くするロックオンを包み込むように、ティエリアは彼の身体を引き寄せた。




 飛び出して行ったヴァーチェの識別信号をたどって何とか追いついたプトレマイオスは、宇宙に浮かぶ白い機影に見守られるように抱き合う二人を確認する。物を言わずに飛び出していった刹那とアレルヤを見送り、スメラギ・李・ノリエガはシートに全身を預けて笑った。
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